免許法第5条別表第1により免許状を取得する場合は、教育実習を受講する必要があります。教職に関する専門教育科目の必修科目で学んだ知識や技能を教育現場で実践するものです。本学では「教育実習Ⅰ」(事前事後の指導1単位)と「教育実習Ⅱ」(現場における2週間の実習2単位)で構成されています。なお、中学数学での教育実習の場合は、「教育実習Ⅲ」(2単位)が追加となり、3週間の教育実習が必要となります。
中学校または高等学校での教育実習は、指導教官のもとで、各種の授業参観や指導案の立案など、実際の授業実践を通して、教師として必要な基本的な事項を体験する学問分野です。そのため、教育現場での生徒と教師との間で展開される指導内容や方法について理解し、それを自らの考えに基づいて工夫しながら研究しなければなりません。さらに、生徒との触れ合いを通して教育という仕事を実体験し、専門職としての教職についての認識を深め、教師になった場合において、実践的な教育活動が展開できるような力を培うことを目的としています。
教育実習受講資格
教育実習は、本学が定める「教育実習受講資格」を得て、本学の許可を受けた方でなければ受講することができません。「教育実習受講資格」を得るには、「修学に関する要件」で定められている科目·単位数を教育実習を受講する前年度末までに修得しておく必要があり、修得することができなかった場合は、実習校の内諾・承諾を得られている場合でも受講は許可されません。教育実習受講にあたっては、入学年次から計画的に学習を進めてください。
編入学生・科目等履修生および秋期入学生の教育実習受講年度について
教育実習を受講する前年度末までに教育実習受講資格を得る必要があることから、編入学生、科目等履修生の教育実習の受講は、入学してから2年目以降となります。
秋期入学生については、入学した翌年度の10月以降でなければ教育実習の受講は許可されませんので ご注意ください。(本学を卒業した科目等履修生を除く)
また、正科生卒業後、科目等履修生として教育実習を考えている方は、正科生から科目等履修生になるまでの学籍のない空白期間中は、本学の学生として教育実習のお願い・依頼はできませんので、ご注意ください。
1. 心身に関する要件
- 教職を志し、教員採用選考検査を受けようとする者
- 伝染の恐れのある疾患がないこと
- 教育実習を遂行するうえで妨げとなる心的疾患や身体機能上の問題がないこと
2.修学に関する要件
- 本学が開講する「教科及び教科の指導法に関する科目(教科に関する専門的事項)」の必修科目20単位中12単位以上を修得していること。
正科生は個別認定単位を含む。科目等履修生は、他大学で修得済みであっても本学で修得することを要する。複数教科の免許状を取得する場合、教育実習を行う教科の「教科及び教科の指導法に関する科目(教科に関する専門的事項)」の単位で判定します。 - 本学が開講する次の科目を単位修得していること。他大学で修得済みであっても本学で修得することを要する。
高校の免許状を取得する場合
(カリキュラム(’24)(’23)(’22)共通)教育原理 2単位 教職概論 2単位 教育心理学 2単位 特別支援教育論 2単位 教育方法論と総合的な学習の時間の指導法 2単位 各教科教育法Ⅰ※ 2単位 各教科教育法 Ⅱ※ 2単位 生徒指導 2単位 学校教育相談 2単位 合 計 18単位 中学校の免許状を取得する場合
(カリキュラム(’24)(’23)共通)教育原理 2単位 教職概論 2単位 教育心理学 2単位 特別支援教育論 2単位 教育方法論と総合的な学習の時間の指導法 2単位 数学科教育法 Ⅰ 2単位 数学科教育法 Ⅱ 2単位 数学科教育法 Ⅲ 2単位 数学科教育法 Ⅳ 2単位 生徒指導 2単位 学校教育相談 2単位 道徳教育の理論と実践 2単位 合 計 24単位 中学校の免許状を取得する場合
(カリキュラム(’22)共通)教育原理 2単位 教職概論 2単位 教育心理学 2単位 特別支援教育論 2単位 教育方法論と総合的な学習の時間の指導法 2単位 数学科教育法 Ⅰ 2単位 数学科教育法 Ⅲ 2単位 数学科教育法 Ⅳ 2単位 数学科教育法 Ⅴ 2単位 生徒指導 2単位 学校教育相談 2単位 道徳教育の理論と実践 2単位 合 計 24単位 - 教育実習事前指導のレポートを提出し、合格していること。
- 正科生の場合、卒業要件の科目を94単位以上(一括認定単位、個別認定単位を含む)修得済みであること。
各教科教育法は、教育実習する教科が情報の場合は、「情報科教育法Ⅰ」「情報科教育法Ⅱ」、商業の場合は、「商業科教育法Ⅰ」「商業科教育法Ⅱ」、数学の場合は「数学科教育法Ⅰ」「数学科教育法Ⅱ」になります。
- 学士の学位を持っていない方が本学の「科目等履修生」として教育実習の受講を希望される場合には、入学前に本学通信教育部へお問い合わせください。
3.その他の要件
- 本学の学費を完納している者。
- 中学校の免許状を取得する場合、介護等体験の事前指導を受講済みであること。
(介護等体験についてを参照)
4.教育実習受講にあたっての注意事項
- 教育実習で知り得たことを他に利用したり、活用しないでください。
- 指導する教員の許可を得ず、生徒との私的なやりとりをしないでください。
- 修学に関する要件で、教育実習の事前指導となるレポートが未提出の場合や、各教科の指導法を修得していない場合は、他の教職関連科目の修得状況に関わらず受講を許可しません。
- 複数科目同時に免許状取得を希望している場合は、教育実習の実習教科で受講資格判定を行います。(中学数学取得の場合は、中学数学で判定します)
教育実習事前指導の学習方法について
本学が指定するメデイア教材を見て学習後にレポートを提出します。このレポートは、受講資格判定の1つとして評価します。評価が不可の場合(事前指導の理解が不足している と判断された場合)は、他の条件を満たしていても教育実習の受講資格は得られません。
教育実習校の確保
教育実習校は、実習の前年度に出身校や最寄りの学校等に交渉し、各自で確保しなければなりません。本学からの紹介・斡旋等はありません(事前に内々諾を得ておくことをお勧めします)。
科目「情報」の場合は「情報」による教育実習が原則ですが、「数学」「理科」「家庭」「工業」「商業」等の教科による実習を認めることがあります。中学「数学」の場合(高等学校「数学」と同時取得する場合も含む)、中学校・高等学校のどちらで実習を行っても構いませんが、実習期間は3週間となるよう調整してください。高等学校教諭1種免許状だけの場合、実習期間は原則、高等学校で2週間となるよう調整してください。
なお、次の学校での教育実習は認められません。
- 勤務先の学校(講師、実習助手、事務職員等含む)
- 通信制の学校・高等専門学校・海外の学校
地方自治体や実習校によっては、教育実習の受講をする場合に、学生個人ではなく、大学や教育委員会を通して申し込みを行うなど特別な申請手続きが必要となる場合があります。詳細は必ず各自で希望される実習校または教育委員会にこ確認ください。
例えば、「東京都公立学校(中・高)」では、大学が一括して東京都教育委員会に申請手続きを行うため、自己開拓は認められておりません。さらに、「東京都出身者(高等学校卒業時まで東京都在住者)」「東京都公立学校教員採用候補者選考試験を受験予定者」という条件もあります(2023年度の場合)。ただし、これは年度によって変わる可能性がありますし、他の道府県や実習校でも同様の条件が課せ られている場合がありますので、ご注意ください。
教育実習受講の流れ
- 教育実習希望登録(実習前年度の履修登録時)
教育実習希望登録された方に「内諾書」と「教育実習生 身上書」等の書類を本学より送付します。 - 実習校開拓活動(中学校教諭1種免許状の取得を目指す方は、以降の「高等学校」を「高等学校または中学校」と読み替えてください。)
- 最寄りの高等学校へ交渉を開始します。教育実習生の受入れには、各高等学校において定員がありますので、早めに(高等学校の夏休み前までを目途に)内諾が得られるように活動をすることをお勧めします(受入れ可能かを電話で確認すること。4月で締め切られる実習校もあるので要注意)。
- 内諾を得る際に本学からの依頼文書を高等学校が必要とする場合は、本学まで連絡してください。
- 内諾が得られたら「内諾書」の作成(記入)を高等学校に依頼します。「内諾書」を受け取ったら速やかに本学へ提出してください。
- 教育実習受講資格の判定
「内諾書」が提出された方について、教育実習実施年度の前年度末に、本学において教育実習受講資格の判定を行います。 - 本学から高等学校へ実習生受入れの正式依頼(受講資格者のみ)
③の教育実習受講資格を得た方について、本学から高等学校に対し正式に教育実習生の受入れを依頼します。 - 高等学校から本学に実習生受入れについて承諾の連絡
- 教育実習費の納入
- 教育実習実施
- 教育実習日誌および教育実習レポートの提出(原則実習期間終了後2週間以内)
「教職実践演習(中・高)」については、履修条件が教育実習を受講して単位修得することになりますので、基本的には教育実習を受講した次の期でなければ履修できません(前期で教育実習受講であれば、後期で教職実践演習(中・高)を履修)。
このため、教育実習の受講時期について前期の場合8・9月で実施、後期の場合1月~3月で実施することで打診された場合は、必ず本学通信教育部事務部まで内諾書をもらう前に連絡してください。
そのまま教育実習を受講すると、成績評価する時期が遅くなり、「教職実践演習(中・高)」を履修登録できない場合があります。
ただし、実習校の指定で10月でなければ教育実習を受講できない場合で、10月中に教育実習を終了して、実習校からの評価(教育実習日誌、教育実習評価表、出勤簿)と教育実習レポートを10月末までに提出することが確約できる場合に限り、後期での「教職実践演習(中・高)」の履修登録を許可します(秋期入学の正科生A、科目等履修生も含む)。
本来であれば、教育実習の単位修得をしていないと「教職実践演習(中・高)」の履修登録はできないため、必ず本学通信教育部事務部まで内諾書をもらう前に連絡して履修登録可能であるかを確認してください。
なお、実習校からの評価と教育実習レポートの提出が11月になる場合と、教育実習の成績が不可となり単位修得できなかった場合は、後期での「教職実践演習(中・高)」の受講はできませんので、ご注意ください。
教育実習費
教育実習校が教育実習費を必要とする場合のみ実費が必要となります(支払方法および金額は、教育実習校により異なりますので、必要に応じてお知らせします)。
教育実習の実務振替
中学校および高等学校において教員として実務経験がある方は、教職経験1年につき1単位の割合で他の「教職関係科目」の単位を修得することにより、教育実習の単位に振り替えることが可能です。実務振替が可能かどうかについては、免許状の申請をする都道府県教育委員会で事前にご確認ください。
保険加入について
教育実習受講者は、 実習中に不慮の事故等により損害賠償責任を負うことになった場合に備え、「インターンシップ・教職資格活動等賠償責任保険(略称 「インターン賠」)に単年度加入します。 保険料は大学負担です。
介護等体験について
中学校教諭1種免許状を取得する場合、免許状申請時に介護等体験証明書が必要になります。
介護等体験は入学の翌年6月から2月までの間に福祉施設で5日間、特別支援学校で2日間の実習を行いますが、いずれも北海道での実習が可能な方のみ受付けとなります。特別支援学校の実習期間や場所の指定はできません。なお、介護等体験事前指導を受講しない場合は、中学校「数学」の教育実習は許可しません(他大学等で介護等体験を受講し、介護等体験証明書を所持している場合、介護等体験免除者を除く)。詳細については、入学後にお知らせいたします。
なお、正科生1年次入学と2年次編入学の方は2年次の10月に、3年次編入学と科目等履修生の方は入学年度の10月に、介護等体験事前指導の申込を行い、翌年2月中旬の平日に本学で実施する介護等体験事前指導の受講と介護等体験申込手続きが必要です。
手続きを行うと翌年度に介護等体験の実習を行うとともに、教育実習受講資格を満たせば、教育実習の実施となります。
介護等体験を受講する際には、実習費がかかります(2023年度時点では、実習費は福祉施設での実習時に1万円、特別支援学校は無料でした。別途、交通費、宿泊代、昼食代等も必要となる場合があります)。